ベトナムコーヒーといえばコレ!特徴から美味しい淹れ方、おすすめまで徹底解説

コーヒー豆の知識

「ベトナムコーヒー」と聞くと、甘くて濃厚な味わいを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、その魅力は単に甘いだけではありません。独特の豆、伝統的な淹れ方、そして奥深い歴史と文化が絡み合い、一度知ると虜になること間違いなしの個性的なコーヒーなのです。

この記事では、「ベトナムコーヒーといえば」で検索する皆さんが知りたい情報を網羅的に、そして分かりやすく解説します。その特徴的な味わいの秘密から、代表的な種類、自宅で楽しめる本格的な淹れ方、さらには歴史的背景や日本でのおすすめまで、ベトナムコーヒーの世界を余すところなくご紹介します。この記事を読めば、あなたもきっとベトナムコーヒーの新たな魅力を発見できるはずです。

ベトナムコーヒーといえば、まず知りたいその特徴

ベトナムコーヒーがなぜこれほどまでに個性的で人々を惹きつけるのか、その秘密は豆の種類、焙煎方法、そして独特の風味に隠されています。まずは、ベトナムコーヒーの基本的な特徴から見ていきましょう。

濃厚で深い苦味と独特の香り

ベトナムコーヒーの最も大きな特徴は、ガツンとくる力強い苦味と、濃厚なコクです。 これは、後述する「ロブスタ種」という種類の豆が主役であることと、深く焙煎するスタイルに由来します。ただ苦いだけでなく、カカオやチョコレートを思わせるような甘く香ばしいフレーバーが感じられるのも魅力の一つです。 デザートのように濃厚な味わいは、「喉を潤す」というよりは、一杯をじっくりと味わうのに適しています。 この濃厚なコーヒーに、たっぷりのコンデンスミルクを加えて飲むのがベトナムの定番スタイルです。

主役は「ロブスタ種」のコーヒー豆

世界で流通するコーヒー豆は、主に「アラビカ種」と「カネフォラ種(ロブスタ)」の2種類に大別されます。日本のカフェなどで一般的に飲まれているのは、酸味と香りが特徴のアラビカ種です。一方、ベトナムコーヒーで主に使用されるのは「ロブスタ種」です。 ロブスタ種は、その名の通り病気に強くたくましい品種で、ベトナムの気候に適していたことから栽培が広がりました。 味わいの特徴は、アラビカ種に比べて苦味が強く、酸味は少なめ。 カフェインの含有量が多いのも特徴です。このロブスタ種の力強い味わいを活かすために、コンデンスミルクの甘さを加えるという独自のコーヒースタイルが確立されました。 現在、ベトナムは世界最大のロブスタ種生産国となっています。

「深煎り」がもたらすチョコレートのような風味

ベトナムコーヒーの豆は、一般的に「深煎り(フレンチローストやイタリアンロースト)」に焙煎されます。豆を長時間じっくりと加熱することで、豆の持つ油分が表面ににじみ出て、特有の苦味とコク、そしてスモーキーな香りが生まれます。この深煎りによって、チョコレートやカカオのような甘く香ばしい風味が引き出されるのです。

また、伝統的な製法では、バターやカカオ、砂糖などを加えて焙煎することもあり、これがさらに独特の風味と香りを生み出す一因となっています。この深煎りの濃厚な味わいがあるからこそ、たっぷりのコンデンスミルクを加えてもコーヒーの風味が負けることなく、絶妙なバランスを保つことができるのです。

ベトナムコーヒーといえば外せない!代表的な種類と飲み方

ベトナムコーヒーの魅力は、そのバリエーションの豊かさにもあります。定番のコンデンスミルク入りから、卵やヨーグルトを使ったユニークなアレンジまで、現地では様々な飲み方が楽しまれています。ここでは、代表的なベトナムコーヒーの種類とその楽しみ方をご紹介します。

定番の「カフェ・フィン」とコンデンスミルク

ベトナムコーヒーの最も象徴的なスタイルが、コンデンスミルクを入れた「カフェ・スア」です。 「カフェ」はコーヒー、「スア」はミルクを意味します。ホットは「カフェ・スア・ノン」、アイスは「カフェ・スア・ダー」と呼ばれ、ベトナムで最もポピュラーな飲み方です。 濃厚に抽出されたコーヒーの苦味と、コンデンスミルクの濃厚な甘さが見事に調和し、一度飲むと忘れられない味わいとなります。 このスタイルが生まれた背景には、暑いベトナムでは新鮮な牛乳が手に入りにくく、保存性の高いコンデンスミルクが代用されたという歴史があります。

卵を使った「エッグコーヒー(カフェ・チュン)」

「コーヒーに卵?」と驚かれるかもしれませんが、この「エッグコーヒー(カフェ・チュン)」は首都ハノイの名物として知られ、デザートのような感覚で楽しめる一杯です。 卵黄とコンデンスミルクを、カスタードクリームのようにふわふわになるまで泡立て、それを濃厚なコーヒーの上にたっぷりと乗せて作られます。 その味わいは、ティラミスにも似た、まろやかでクリーミーな甘さが特徴です。コーヒーの苦味と卵クリームのコクが絶妙にマッチし、飲むというよりはスプーンですくって食べる感覚に近いかもしれません。 見た目のインパクトも大きいので、ベトナムを訪れた際にはぜひ試してみたいアレンジコーヒーです。

さっぱりとした「ヨーグルトコーヒー(スアチュア・カフェ)」

甘くて濃厚なイメージのベトナムコーヒーですが、さっぱりとした味わいが楽しめるのが「ヨーグルトコーヒー(スアチュア・カフェ)」です。 濃いめに淹れたコーヒーと、甘みを加えたヨーグルトを混ぜ合わせたドリンクで、ベトナムでは人気のカフェメニューの一つです。 ヨーグルトの酸味がコーヒーの苦味を和らげ、後味は驚くほど爽やか。暑い日にぴったりの、ヘルシー志向の方にもおすすめできる一杯です。コンデンスミルクとヨーグルトの割合を調整したり、はちみつを加えたりと、自分好みの味を見つけるのも楽しいでしょう。

ココナッツ香る「ココナッツコーヒー(コットズア・カフェ)」

ココナッツの甘い香りが好きな方には、「ココナッツコーヒー(コットズア・カフェ)」がおすすめです。 これは、ココナッツミルクやココナッツシャーベットをベトナムコーヒーと合わせたアレンジコーヒーで、特に女性に人気があります。 シャーベット状のココナッツが使われることが多く、ひんやりとした口当たりと優しい甘さが楽しめます。 ココナッツの風味がコーヒーの苦味をマイルドにしてくれるため、コーヒーが苦手な方でも挑戦しやすい一杯です。 南国気分を味わえる、デザート感覚のドリンクです。

ベトナムコーヒーといえばこの淹れ方!「フィン」を使った抽出方法

ベトナムコーヒーの独特な味わいは、豆や焙煎方法だけでなく、伝統的な抽出器具「フィン」によっても生み出されます。「フィン」を使った淹れ方は、見た目にも楽しく、自宅で本格的なベトナムコーヒーを味わうための重要なステップです。ここでは、フィンの使い方と、美味しく淹れるためのコツをご紹介します。

必要な道具「フィン」とは?

「フィン」とは、ベトナムで伝統的に使われている金属製のコーヒーフィルター(ドリッパー)のことです。 一般的に、カップの上に乗せる「ソーサー」、コーヒー粉を入れる「カップ」、粉を抑えるための「フィルター(中蓋)」、そして蒸らすための「フタ」の4つのパーツで構成されています。 材質はアルミ製やステンレス製が多く、ペーパーフィルターを使わないのが特徴です。 フィンの底には細かい穴が開いており、ここからお湯がゆっくりと滴り落ちることで、コーヒーの成分がじっくりと抽出され、濃厚で力強い味わいが生まれるのです。

自宅で簡単!基本的な淹れ方のステップ

フィンさえあれば、自宅でも簡単に本格的なベトナムコーヒーを淹れることができます。基本的な手順は以下の通りです。

1. 準備:まず、耐熱グラスにコンデンスミルクを適量(大さじ1〜2杯が目安)入れておきます。
2. コーヒー粉をセット:フィンのカップ部分に、深煎りの中挽き〜粗挽きのコーヒー粉を入れます(15g〜20g程度)。 粉を入れたら、フィンを軽く揺すって表面をならします。
3. 蒸らし:フィルター(中蓋)を粉の上にそっと置き、少量のお湯(約20ml)を注いで、20秒ほど蒸らします。 この工程で、コーヒーの風味がより豊かになります。
4. 抽出:蒸らしが終わったら、フィンの中にゆっくりとお湯を注ぎます。お湯が全て落ちきるまで、約5分ほどじっくりと待ちます。 フタをして待つのがポイントです。
5. 完成:コーヒーが全て抽出されたら、フィンを外し、グラスの底のコンデンスミルクとよくかき混ぜて完成です。氷をたくさん入れてアイスで飲むのもおすすめです。

美味しく淹れるためのコツと注意点

より美味しく淹れるためには、いくつかコツがあります。まず、コーヒー粉はベトナムコーヒー用の深煎り豆を選ぶのが理想的です。 挽き方は、細かすぎると粉がフィルターの穴から落ちてしまい、粗すぎるとお湯が早く落ちすぎて薄い味になってしまうため、中挽き程度がおすすめです。

お湯の温度は90℃前後が適しています。 沸騰したてのお湯よりも、少し落ち着かせた温度の方が、雑味が出にくくなります。抽出時間は5分前後が目安ですが、これは粉の量や挽き具合によって変わります。 もし抽出が早すぎる場合は粉を少し多めに、遅すぎる場合は少なめにするなど調整してみてください。フィンは構造がシンプルな分、粉の量や圧縮具合で濃さを調整できる自由度の高さも魅力の一つです。

ベトナムコーヒーといえば気になる歴史と文化

ベトナムコーヒーの独特なスタイルは、一朝一夕に生まれたものではありません。その背景には、フランス統治時代の歴史と、ベトナムの人々の生活に深く根付いた独自のコーヒー文化があります。ここでは、ベトナムコーヒーが今日に至るまでの道のりを探ります。

フランス統治時代から始まったコーヒー栽培

ベトナムにコーヒーがもたらされたのは19世紀半ば、フランスの植民地時代でした。 当初はキリスト教の宣教師によって持ち込まれ、その後、フランスが産業としてコーヒー栽培を本格化させました。 フランスは、自国で消費するためのコーヒーを確保する目的で、ベトナムの気候や土壌の研究を進め、栽培に適した土地を開拓していったのです。 当初はアラビカ種が導入されましたが、ベトナムの気候には適さず、病気に強いロブスタ種が主流となっていきました。 このように、ベトナムコーヒーの歴史はフランスの統治と深く結びついています。

ベトナムの人々の生活に根付くコーヒー文化

フランスによって持ち込まれたコーヒーは、やがてベトナムの人々の生活に欠かせないものとなりました。街の至る所にカフェがあり、路上に置かれた低い椅子とテーブルでコーヒーを楽しむ光景は、ベトナムの日常的な風景です。 朝、仕事に行く前に一杯、昼食後に一杯、友人とのおしゃべりに一杯と、コーヒーはコミュニケーションの潤滑油として、また、ひと息つくための大切な時間として人々の生活に溶け込んでいます。日本における茶道のように、ベトナムのコーヒーは単なる飲み物以上の、精神的な文化として根付いているとも言えるでしょう。 濃厚なコーヒーを時間をかけてゆっくりと楽しむスタイルは、忙しい日常の中の安らぎとなっています。

世界第2位のコーヒー生産国としてのベトナム

ベトナム戦争後、政府は経済復興策の一つとしてコーヒー産業に力を入れました。 フランスが遺した栽培技術と、コーヒー栽培に適した気候、そして安価な労働力を背景に、ベトナムのコーヒー生産量は飛躍的に増大しました。 世界銀行からの資金援助や外資企業の進出も後押しとなり、ベトナムは急成長を遂げ、現在ではブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産大国としての地位を確立しています。 生産される豆の多くはロブスタ種で、世界市場の約20%を占めており、インスタントコーヒーや缶コーヒーの原料としても広く利用されています。

日本でベトナムコーヒーといえば?楽しみ方ガイド

ベトナム現地で味わうコーヒーはもちろん格別ですが、日本国内でも本格的なベトナムコーヒーを楽しむ方法はたくさんあります。豆の選び方から、おすすめのブランド、そして美味しいベトナムコーヒーが飲めるカフェまで、日本での楽しみ方をご紹介します。

おすすめのベトナムコーヒー豆・粉の選び方

日本でベトナムコーヒー用の豆を選ぶ際は、まず「ロブスタ種」かどうかを確認するのがポイントです。 力強い苦味とコクが特徴のロブスタ種を選ぶことで、本場の味に近づけることができます。 近年では、品質の高いアラビカ種も生産されており、マイルドな味わいを好む方は「ルビーマウンテン」や「エバーグリーン」といった銘柄のアラビカ種を試してみるのもおすすめです。

焙煎度合いは「深煎り」のものを選びましょう。また、ベトナムコーヒーは専用の「フィン」で淹れるのが伝統的ですが、ペーパーフィルターで淹れる場合は、通常の倍くらいの粉の量で濃いめに抽出すると、雰囲気を楽しむことができます。

通販や店舗で買える人気ブランド

日本でも、様々なブランドのベトナムコーヒーが手に入るようになりました。

・チュングエン・コーヒー (Trung Nguyen Coffee)
ベトナム最大手のコーヒーブランドで、日本でも知名度が高いです。 様々なシリーズがあり、特に「サンタオ(Sang Tao)」シリーズは創造性を意味し、番号によってブレンドや風味が異なります。 初めての方には、バランスの取れた味わいの「サンタオ1」などが試しやすいでしょう。

・ハイランズ・コーヒー (Highlands Coffee)
「ベトナムのスターバックス」とも呼ばれる人気のカフェチェーンのブランドです。 店舗で提供されているような、本格的な味わいを家庭でも楽しめます。

・キングコーヒー (King Coffee)
チュングエン・グループの創設者が立ち上げた比較的新しいブランドで、質の高いコーヒーを提供しています。 エキスパートブレンドなど、香り高い商品が人気です。

これらのブランドは、輸入食品店や大手通販サイトなどで購入することができます。

都内で本格的なベトナムコーヒーが味わえるカフェ

自宅で淹れるのも良いですが、まずは専門店で本場の味を体験してみたいという方も多いでしょう。東京都内にも、本格的なベトナムコーヒーやベトナム料理を楽しめるカフェが点在しています。

・iShite Book Cafe (新宿区)
ベトナム語の書籍が多数置かれ、現地の雰囲気が味わえるカフェです。 ベトナムから直輸入した高品質な豆を使ったコーヒーが楽しめます。

・GET KOPHÏ (江東区)
ベトナムの甘いコーヒーが好きだというオーナーが始めた専門店です。 定番のコンデンスミルク入りはもちろん、濃厚なエッグコーヒーも人気です。

その他にも、ベトナム料理レストランでは食後のドリンクとして本格的なベトナムコーヒーを提供しているお店が多くあります。 ぜひお近くのお店を探して、ベトナムの空気を感じながら、その奥深い味わいを堪能してみてください。

ベトナムコーヒーといえば、その奥深い世界を楽しもう

ベトナムコーヒーについて、その特徴から歴史、様々な楽しみ方までを掘り下げてきました。

力強い苦味と香りが特徴の「ロブスタ種」の豆、それを「深煎り」にし、専用の「フィン」でじっくりと時間をかけて抽出するスタイル。そして、たっぷりのコンデンスミルクを加えて甘く濃厚に仕上げる「カフェ・スア」は、ベトナムコーヒーの象徴です。 さらに、卵を使ったクリーミーな「エッグコーヒー」や、ヨーグルトでさっぱりと楽しむアレンジなど、そのバリエーションは実に豊かです。

その背景には、フランス統治時代から続くコーヒー栽培の歴史と、人々の生活に深く根付いた独自のカフェ文化があります。 今や世界第2位のコーヒー生産国となったベトナム。

日本でも豆や粉を手に入れて自宅で淹れてみたり、本格的なカフェに足を運んでみたりと、楽しみ方は広がっています。この記事をきっかけに、ぜひ甘く濃厚で奥深いベトナムコーヒーの世界に触れてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました