ベトナムコーヒーの割合とは?生産量から飲み方までわかりやすく解説

コーヒー豆の知識

「ベトナムコーヒー」と聞くと、甘くて濃厚な味わいを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実はベトナム、ブラジルに次いで世界第2位のコーヒー生産大国なんです。 その生産量の多さだけでなく、栽培されている豆の品種の割合や、独特の飲み方における材料の割合など、ベトナムコーヒーの世界は「割合」というキーワードで見てみると、より一層その魅力が浮かび上がってきます。

この記事では、生産量、品種、そして美味しい飲み方に至るまで、ベトナムコーヒーにまつわる様々な「割合」を、初心者の方にも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。この記事を読めば、あなたもきっとベトナムコーヒーの虜になるはずです。

世界におけるベトナムコーヒーの生産割合

ベトナムは世界的に見ても有数のコーヒー生産国です。その生産量が世界全体でどれくらいの割合を占めているのか、そしてどのような品種が主力なのかを見ていきましょう。

世界第2位のコーヒー大国ベトナム

ベトナムのコーヒー豆の生産量は、ブラジルに次いで堂々の世界第2位を誇ります。 具体的な数字を挙げると、2022年のデータでは、世界全体のコーヒー豆生産量が約1078万トンであるのに対し、ベトナムは約195万トンを生産しており、世界シェアの約18.1%を占めています。 1位のブラジル(約317万トン)と2位のベトナムだけで、世界のコーヒー生産量の半分近くを占めていることからも、ベトナムが世界のコーヒー市場に与える影響の大きさがうかがえます。 このように、ベトナムは名実ともにコーヒー大国として、世界中のコーヒー愛好家や関連企業から注目を集める存在なのです。

主力はロブスタ種!その生産割合と特徴

ベトナムコーヒーを語る上で欠かせないのが「ロブスタ種」という品種です。ベトナムで生産されるコーヒー豆のうち、実にその約90%以上がロブスタ種で占められています。 この割合の高さが、ベトナムコーヒーの個性的な味わいを決定づけていると言っても過言ではありません。ロブスタ種は、その名の通り病害虫に強く、比較的低地でも栽培が可能な頑健な品種です。 味わいの特徴としては、麦のような香ばしい香りと強い苦味、そしてしっかりとしたコクが挙げられます。 カフェインの含有量が多いのも特徴の一つです。 この力強い味わいから、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料として世界中に輸出されています。

近年増加中のアラビカ種の生産割合

主力はロブスタ種ですが、近年ベトナムでは「アラビカ種」の生産にも力を入れています。 現在、ベトナム全体のコーヒー生産量に占めるアラビカ種の割合は5%程度とまだ少ないですが、その品質の高さから注目度が高まっています。 アラビカ種は、豊かな香りとフルーティーな酸味が特徴で、レギュラーコーヒーとしてストレートで飲まれることが多い高級品種です。 病害虫に弱く、標高の高い冷涼な気候でないと栽培が難しいデリケートな品種でもあります。 ベトナムでは、中部高原地帯のダラットなどが主な産地で、その涼しい気候を活かして高品質なアラビカ種が栽培されています。

ベトナムコーヒーの品種ごとの栽培割合

なぜベトナムではこれほどまでにロブスタ種の栽培割合が高いのでしょうか。その背景には、ベトナムの気候や歴史が深く関わっています。

なぜロブスタ種の割合が高いのか?気候と歴史的背景

ベトナムでロブスタ種の栽培が主流となったのには、主に2つの理由があります。一つは気候、もう一つは歴史です。ベトナムの国土は南北に長く、多様な気候帯を持っていますが、コーヒー栽培が盛んな中部高原地帯は、高温多湿な気候が特徴です。

この気候が、病害虫に強く、暑さに耐性のあるロブスタ種の栽培に適していました。 歴史的背景としては、19世紀半ばにフランスの植民地となったことが挙げられます。 当時、フランス人によってコーヒー栽培が始まりましたが、生産性を重視した結果、ベトナムの気候風土に合ったロブスタ種が広く植えられることになったのです。 このような理由から、現在でもベトナムのコーヒー生産はロブスタ種が圧倒的な割合を占めています。

中部高原地帯が主な産地

ベトナムコーヒーの主要な産地は、国土の中南部に広がる「中部高原地帯」に集中しています。 特にダクラク省、ラムドン省、ザライ省、コントゥム省などが有名です。 この地域は、標高500~700メートルほどの高原地帯で、玄武岩質の肥沃な土壌と、雨季と乾季がはっきりした気候がコーヒー栽培に非常に適しています。 中でもダクラク省のバンメトートは、ベトナム最大のコーヒー産地として知られ、「ベトナムコーヒーの首都」とも呼ばれています。 一方で、同じ中部高原地帯でも、ラムドン省のダラットのように標高が約1,500メートルに達する冷涼な地域では、高品質なアラビカ種の栽培が盛んに行われています。

スペシャルティコーヒーとしての挑戦とアラビカ種の未来

これまでベトナムコーヒーは、主にインスタントコーヒーなどの原料として、安価で大量生産されるイメージが強いものでした。しかし近年、品質を重視した「スペシャルティコーヒー」の生産に力を入れる農家が増えています。特に、付加価値の高いアラビカ種の栽培に注目が集まっており、政府もその動きを後押ししています。 ダラットなどで生産されるアラビカ種は、その品質の高さからヨーロッパなどへも輸出されており、国際的な評価も高まっています。

「ルビーマウンテン」といったブランド豆も登場し、爽やかな酸味とバランスの取れた味わいが人気を博しています。 このように、ロブスタ種一辺倒だったベトナムのコーヒー生産は、アラビカ種の割合を増やすことで、新たなステージへと向かっているのです。

日本とベトナムコーヒーの輸入割合の関係

実は、私たちの身近なところでもベトナムコーヒーは活躍しています。日本が輸入しているコーヒー豆の中で、ベトナム産はどれくらいの割合を占めているのでしょうか。

日本のコーヒー豆輸入国ランキングとベトナムの割合

日本は多くの国からコーヒー豆を輸入していますが、その中でベトナムはブラジルに次いで第2位の輸入相手国となっています。 2021年のデータによると、日本のコーヒー生豆の総輸入量のうち、ベトナム産は約25%を占めており、これは日本のコーヒー市場において非常に大きな割合です。 1位のブラジルと2位のベトナムを合わせると、日本のコーヒー輸入量全体の半分以上を占めることになり、この2カ国が日本のコーヒー供給を支える重要なパートナーであることがわかります。

なぜ日本はベトナムから多く輸入しているのか?

日本がベトナムから多くのコーヒー豆を輸入する最大の理由は、その価格競争力と安定した供給力にあります。 ベトナムの主力であるロブスタ種は、アラビカ種に比べて栽培が容易で生産コストを抑えられるため、比較的安価で取引されています。 また、世界第2位の生産量を誇るため、年間を通じて安定的に大量の豆を確保できるというメリットもあります。日本国内では、インスタントコーヒーや缶コーヒー、リキッドコーヒーなどの工業用原料としての需要が非常に高く、そのニーズにベトナム産のロブスタ種が合致しているのです。地理的に近いということも、輸送コストの面で有利に働いています。

主にインスタントコーヒーや缶コーヒーに使われるロブスタ種

日本に輸入されるベトナム産コーヒー豆の多くは、苦味が強くカフェインが豊富なロブスタ種です。 この特徴を活かし、主にインスタントコーヒーや缶コーヒー、業務用リキッドコーヒーなどの原料として使用されています。 これらの製品には、しっかりとしたコーヒーの風味とコクが求められるため、力強い味わいのロブスタ種が適しているのです。普段私たちが何気なく飲んでいる缶コーヒーや、手軽に楽しめるインスタントコーヒーの味わいを、実はベトナム産のコーヒー豆が支えているのです。最近では、その独特の風味を活かしたレギュラーコーヒー用の商品も増えてきており、ベトナムコーヒーの楽しみ方も広がりを見せています。

ベトナムコーヒーの美味しい飲み方と割合

ベトナムコーヒーの魅力は、その独特な飲み方にもあります。ここでは、伝統的な淹れ方から、コンデンスミルクとの絶妙な割合、そしてユニークなアレンジレシピまでご紹介します。

基本のベトナムコーヒーの淹れ方と「フィン」

ベトナムコーヒーを淹れる際には、「フィン」と呼ばれるアルミやステンレス製の専用ドリッパー(フィルター)を使うのが伝統的なスタイルです。 このフィンは、ペーパードリップとは異なり金属製のフィルターで、コーヒーの油分まで抽出されるため、より濃厚でコクのある味わいになります。 使い方はとてもシンプルで、まずカップに深煎りの粗挽きにしたコーヒー粉を入れ、その上からお湯を注ぎます。お湯は一度に注ぐのではなく、少量で蒸らしてから数回に分けてゆっくりと注ぐのがポイントです。抽出には5分から10分ほどかかり、ぽたぽたとコーヒーが滴り落ちるのを待つ時間も、ベトナムコーヒーの楽しみの一つです。

甘くて濃厚!コンデンスミルクとの黄金比率

ベトナムコーヒーの最もポピュラーな飲み方が、たっぷりのコンデンスミルク(練乳)を入れた「カフェ・スア」です。 苦味の強いロブスタ種のコーヒーに、濃厚な甘さのコンデンスミルクが加わることで、絶妙なバランスの味わいが生まれます。美味しいカフェ・スアを作るための割合ですが、一般的にはコーヒー豆12〜15gに対し、コンデンスミルクは20〜25g程度が目安とされています。 これは、コーヒーとコンデンスミルクの割合が、だいたい2対1から3対2くらいになります。もちろんこれはあくまで目安なので、自分の好みに合わせて甘さを調整してみてください。最初にグラスにコンデンスミルクを入れておき、その上からフィンで抽出した熱々のコーヒーを注いで、よくかき混ぜてから飲むのがベトナム流です。

ヨーグルトや卵も?ユニークなアレンジコーヒーの紹介

ベトナムでは、コンデンスミルクを使った定番の飲み方以外にも、ユニークで美味しいアレンジコーヒーがたくさんあります。 例えば、首都ハノイ名物の「エッグコーヒー(カフェ・チュン)」は、卵黄とコンデンスミルクをクリーム状になるまで泡立て、その上に濃いコーヒーを注いだ、まるでデザートのような一杯です。 また、「ヨーグルトコーヒー(スアチュア・カフェ)」は、コーヒーにヨーグルトを混ぜたドリンクで、ヨーグルトの酸味がコーヒーの苦味と意外なほどよく合います。

その他にも、ココナッツミルクを使った「ココナッツコーヒー」や、塩をひとつまみ加えて甘みを引き立てる「ソルトコーヒー」など、地域ごとに様々なアレンジが楽しまれており、ベトナムの奥深いコーヒー文化を感じることができます。

まとめ:ベトナムコーヒーの様々な「割合」を知ってもっと楽しもう

この記事では、「割合」という視点からベトナムコーヒーの魅力に迫ってみました。世界第2位という生産量の割合、その大半を占めるロブスタ種の割合、そして日本への輸入割合など、数字を通してベトナムがコーヒー大国であることを再確認できました。

また、伝統的な飲み方におけるコーヒーとコンデンスミルクの絶妙な割合は、あの甘く濃厚な味わいの秘訣です。 これからは、缶コーヒーを手に取った時や、カフェでベトナムコーヒーを注文する時に、その背景にある様々な「割合」を思い出してみてください。きっと、いつもの一杯がより深く、味わい深いものに感じられるはずです。

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